#2「間取りと動線」
自由設計の可能性研究所 #2「間取りと動線」 日常に、こんなイライラありませんか? いつもの通勤コースを車で進んでいると、通行止の看板が! このまま、最短コースを突き進みたい。 家でも似た感覚になること、ありませんか? 行き止まりや、遠回りしないといけない“間取り“だと 家の場合は毎日。イライラ、面倒、もううんざり。 ご飯を作りながら、洗濯をしながら、自分や子供の支度しながら、 やらないといけないことのほとんどは、時間帯が同じ。 ただでさえドタバタするのに、行き止まりのある間取りでは、同時進行ができない。 ぐるぐると行き止まることなく動ければ、人も生活も、スムーズに流れる。 やりたいことや、しないといけないことが、途切れることなくこなせる。 あとは目的に合わせて各部屋を配置すれば、現在抱えている暮らしの問題点やストレスが改善できる間取りになる。 そうすると、自分らしいの間取りが見えてきます。 共働きや育児で大忙しの日々をイメージしながら、 「間取りと動線」で、どれだけ暮らしが変わるのか? 徹底検証してみましょう。 朝、目覚めたと同時に、人は動き、生活は流れだす。 毎日が1.5倍速に感じ、「Netflixかよ」と思う、朝がはじまる。 洗面所で顔を洗い、キッチンへ直行。 冷蔵庫から食材を取り出し、テキパキと朝ごはんの支度とお弁当作り。 時間帯によっては、キッチン周辺 特に冷蔵庫前が渋滞したり、料理中にもかかわらず、後ろを何度も通られて困ることも。 「よし!ご飯が炊けたタイミングで子供を起こそう」 ここからが、朝最大の正念場。 時間との闘いがはじまる。 時計の針が子供中心へと変わり、キッチンは指令台へと化す。 目をこすりながら起きてきた子供に声をかけ、テーブルに誘導する。 ご飯を食べさせながら、隙を見てメイク。 子育ての予期せぬ事態に備えて、メイクはもちろん時短メイク。 だが妥協はできない。 そうなると、メイクボックスを運ぶ時間も惜しい。 近くに収納スペースやメイクができるスペースがあれば、どれほど便利でしょう 「 なんとか、順調。」 時計の針に目をやり 、次は着替えだ。 この間取りなら、キッチン横のランドリールームとファミリークローゼットに数歩で移動できる。 洗濯カゴに脱いだ物を入れ、 最短コースで着替えることができる。 最近では一人で、着替えようとする我が子。 その心意気、ギリギリまで見守ってあげたい。 「あの服じゃないとイヤだ!」 「そうくると思って、昨日のうちに洗濯して、隣のランドリールームで干してますよ。」 あの、手抜きの出来ない洗濯家事。 「干す」と「収納」がこれだけコンパクトに! 「脱ぐ」と「着替える」の連動意識で整理整頓となり、 あの脱ぎっぱなしからの脱却! 家事時短のご褒美は、自分時間にあててほしい。 (ランドリールームの詳細はコラム#1をご参考に。) さぁ、準備が出来た。 「行ってきます。」 玄関を開けると、雨。 こんな日は、朝からうんざり。 右手は我が子、左手には自分の荷物で、手が塞がっている。 そんな時でも、玄関ポーチのギリギリまで計画したカーポートのおかげで、 大切なものを雨に濡らさず車に乗り込める。 みなさんの生活の流れはどうですか? 「こうだったらいいのにな」 「自分ならこうしたい」 そう、思いつくことはありますか? 住まいづくりの計画に、自分のやりたい意思が途切れることなく伝わったのなら、 以前は、窮屈だった生活が、がらっと変わります。 今回は、2階建てでも、朝の支度が全て1階で完結できる。 その名も『いってきます動線』 では、帰宅してからの『ただいま動線』はどうなるでしょう? ここからは、お父さんの登場です。 このご時世、まずは何より手洗い、うがい。 大切な人のために「 衛生動線 」は重要ですよね。 玄関近くのファミリークローゼットに仕事着をかけ、 ランドリールームで、脱いだものを洗濯カゴへ。 そのままお風呂に入ると、 絶妙なタイミングで、おもちゃを持ってきた子どもとお風呂タイム。 「お腹空いたなぁ。今日のごはん何かなぁ?」 湯船に浸かり、天井を見上げながら、親子で予想する。 「あったまったなぁ」 ランドリールームで体を拭き、すかさずファミリークローゼットに親子で移動。 寒い冬でも体を冷やさずに着替えができる。 キッチンからはいい匂い。 テーブルには家族みんなの大好物、お母さん特製唐揚げ。 やっとここからは家族時間。みんなでゆっくりしようか。 「いってきます動線」がスムーズに流れたのなら、「ただいま動線」も同じようにスムーズに流れる。 #2コラムのテーマも、何について書こうかとても悩みました。 そこで、お施主さまに取材をして、完成後の感想を尋ねたところ、 「動線が変わると生活が変わった」 というお話を聞かせてくれました。 私はこの一言にあまりの衝撃を受け、 動線についてさまざまなことを考えました。 動線が変わると、なぜ生活が変わったのか・・・?? 新築計画で、「誰が、何を、どこでするか」をかけ合わせたからこそ 人も生活も、スムーズに流れる。 それによって、行き止まりがある動線に限界を感じていた項目が、一気に改善できた。 住まいづくりから、当たり前の日常を、より良く変えることができた。 あの忙しい日々で、家事をスムーズにできることが増えた。 だから、日常がもっと輝くものになった。 あの通行止めの看板にがっかりしたのは、 当たり前の選択肢が、一つ減らされたからだったのか。 そろそろ、通行止めの看板を撤去しに行きましょうか? それか、こちらの横道からのコースを進んでみるのもいいですね。 あなたの意思で、踏み出す次の一歩が、 確かな意志へとつながってゆく。 松下 晃雄